ビクター HR−Z1型の巻



 SASEさんに保護頂いた、ビクターのキワモノデッキ、HR−Z1型です。
 実機には過去1回遭遇しています。HV−V3000を買った、H/O岐阜長良店でです。
 両者で10万円を超えたので、V3000を保護しまして、Z1は泣く泣くあきらめました。

 しかし外観はビデオデッキじゃないです、これは。
 説明書、リモコン付きでなんと1万円。H/Oにしては超破格値かも。



 蓋の中。同時期のHR−X1あたりがベースか?
 HV−V7000そっくりなのがなんとも(笑)。時期的にはHV−V3000なのでしょうけど。



 端子群。流石高級機だけあり系統は豊富である。
 下の、いかにも後付した感じのデジタルI/Oがおもしろい。
 光、同軸それぞれが装着されている。

 このデッキを代行保護くださったSASEさんに厚く感謝申し上げます。

 試運転してみますと、以下のような不具合がありました。

 ・ハイファイ音声(DA音声ではなく)にノイズが乗る。
  ヘッド摩耗時によくある、バリバリ系。
 ・S−VHS DA音声の自己録音再生が不可能。

 このデッキはあまりにもったいないので、メーカー修理をビクターさんにお願いしました。
 その結果、こんなお返事が・・・。

 ・見積もりはおおよそ8万円弱。
 ・内容は、シリンダASSY交換、消耗品交換。

 なんとしてもメーカー修理で直したかったので、メーカーのサービスマンと話してみました。
 その結果をざっと要約すると、

 (私)ええと、8万円だか掛かるようなんですが、何が悪いのでしょうか、具体的に教えてください
    ませんでしょうか?
 (サ)今回の不具合は、ヘッド摩耗によるもので、ヘッドを交換する予定です。
    ただ、ヘッドのみの交換では波形がうまく出ず、難しいので、シリンダASSY交換にて見積もりしております。
 (私)シリンダのお値段はいくらくらいですか?
 (サ)約6万円です。
 (私)ヘッドのみの不具合で、回路系は問題ありませんか?
 (サ)大丈夫と思いますよ。
 (私)・・・・・・。なんとか安くしたいのですが、どうにもなりませんか?
 (サ)そうですね、あと2000円くらいであれば。それ以上は難しいですね。
 (私)・・・・・・。そうなんですか、わかりました。涙をのんで修理をあきらめます。
 (サ)そうですか。わかりました。

 さて、ここで終わって、「オークション行きだ、オイ!」と思っていたのですがダメ元で藤商に電話してみました。
 というのは、サービスマンの

 (サ)大丈夫と思いますよ。

 という言葉に賭けてみたいと思ったからです。
 判りやすく言えばヘッド不良というわけで、まだ私の手の入る余地はあるわけです。
 ヘッドを交換してダメであれば、さっぱり諦めもつこうというものです。

 ここで本当ならば、ビクターのサービスに電話して「ヘッドありますか?」と聞くのが普通。
 しかし、転んでもタダでは起きない性格ですし、お金がないですから、やはりここはまず藤商に聞いてみます。

 早速電話してみますと、HR−Z1型はなんとヘッドがあるらしい。
 「ええっ?あるのですか?」と逆に聞き返してしまいました。
 その翌日、早速ヘッドを手配しました。

 ヘッドは2日後に到着。いよいよ、交換に掛かります。
 以降、交換の様子を紹介していきます。



 蓋を開けたところ。流石に高級機だけあり、基板に覆われています。
 まあ、V7000よりは分解は楽ですよ。



 交換前のヘッドの様子。既に、左側インピーダンスローラーのウエートは取り外してあります。
 ウエート2個、シリンダのアースブラシは取り外しておきます。



 そして半田を、半田吸い取り線を使って取り去り、ヘッドを固定しているねじ2本をゆるめて、慎重に真上に引き抜きます。
 半田が完全に吸い取られて、下シリンダと完全に分離出来ているかどうか確認しないと、下シリンダを壊すおそれもあります。
 実は今回壊しかけましてヒヤヒヤモノでした。



 上が藤商ヘッド、下が取り外したヘッド。



 このヘッドは新品の藤商ヘッドですが、純正のヘッドに酷似しています。
 JVCS75V0などの表記は、そもそもついていたヘッドの表記と同様で、純正といわれれば気づかないです。
 推測ですが、藤商さんはビクターのヘッドのOEM元かもしれません。
 部品番号らしい番号は、PDM3336−01−01と古いヘッドに記入されています。

 訂正:00.10.04

 SASEさんからご指摘を受けました。

 JVC=日本ビクターの事。ただし、「JVCS75V0」については基板そのもののUL認定記号だと推測される。
 日本ビクターはプリント基板も製造しており、藤商さんが日本ビクターに基板の注文をしたところ、偶然同じUL番号の基板が入ったかも知れず、両者のOEM関係は不明、という事です。重ねて訂正致します。

 ただし、私が見る限りFEヘッドが割愛されているような様子でしたので、完全に同じではない可能性が高いです。

 なお、気になる藤商ヘッドのお値段は送料、税別で9800円でした。



 新しいヘッドをシリンダに装着し、最初にビスでヘッドを締め付けます。
 この際、2本を交互にボチボチ締めていかないと、仮にヘッドが斜めになってしまうとシリンダをかじったりしてまずいです。
 注意して締め付けます。

 無事に交換を完了し、早速再生、録画を試します。
 ここで、映像が白黒だった場合は、ヘッドが180度逆ですので、一旦取り外して180度回して再度取り付けします。
 実は今回経験しました(爆)。



 このデッキでの自己録画再生映像。綺麗なものです。
 画質の傾向としては、三菱が、エッジを強調したいわゆる「カミソリ三菱」なのに対し、ビクターは画像の自然さを大事にした見やすい画質です。これがビクターの映像づくりなのでしょうね。
 DVD録画には、この方が良いかなと思いました。
 音声はデジタル録音で、DAT並の音質で言うことナシです。

  00.10.01追記

 ヘッド交換については、本来は「テープパスの調整」を行わないといけません。
 私の場合は幸いに無調整でそれなりの映像が出ていますが、これは偶然です。
 まあ、たいていの場合は無調整でもそれなりに映るとは思うのですが、調整がずれている場合は映像が出ないとか、ノイズが出るとか、他機録画テープが再生できないことがあります。特に3倍モードではそれが顕著になります。
 一応他機録画の標準モードテープを試した後、3倍モードでも試してみましょう。
 それから、修理機で録画した3倍モードテープが信頼の置ける他機で再生できるかどうか、確認してみましょう。




 パネル内部で、目に付くのはオーディオレベルメーターですね。
 デジタル機器らしく、最大レベルは0になっています。

 メカは当時のビクターの共通のメカですね。S8800、S3500あたりと同じです。



 全体的にシャンパンゴールドを基調とした上品な感じのデッキです。
 便利なのは、フロントにある端子はスイッチ切り替えで入出力が切り替えできます。これは便利です。 



 操作パネル右側。主に音声系の操作部分である。



 操作パネル左側。入出力系が主。



 デジタル録音再生している証拠として、FLに「48KHz」と「DIGITAL]の表示が見える。
 ちなみに通常のハイファイであれば、「DIGITAL」が消えて「Hi−Fi」という表示になる。



 この質感あふれるフロントドア、そして特徴的な動作表示LED。



 うーむ、ビデオデッキに見えないですな。
 真ん中の「DA」ロゴが誇らしい。

 ってなわけで私は大満足です。結果2万円弱で復帰できました。
 今後はメカ系の消耗品交換と、電源他の電解コンデンサの交換を予定しています。
 交換後はまた記事にしたいと思っております。

 尚、FEヘッドがないのも気に入らないので、古いヘッドからFEヘッドだけを移植しようかとも思っています。
 これはメチャクチャリスク高いなあ、しかし・・・。

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