三菱 HV−V700型
このデッキは三菱の栄誉有るVシリーズの末裔である。
このデッキの後には、V900、V900L、V920MN、V930と続くわけであるが、いずれも性能的には厳しく、ツインサーボでかつ基本性能が良いデッキではこのV700が最後となる。
今回は、当HPをご覧頂き、かつ掲示板にもカキコくださっているウォリニャンさんから故障品を譲渡していただける事となり、引き取りに行って参りました。その節は有り難うございました。
当時のHV−BSシリーズの筐体をそのまま使用している。なかなかのツラガマエである。
蓋を開けてもまんまHV−BSシリーズのまま。BS53、BS65あたりとよく似ている。
ただ、つまみ類は減っておりコストダウンが見え隠れする。
スイッチ部。このデッキらしいのは「3D Y/C」ですね。
当時のV700の設計コンセプトは、「HV−V6000をベースに、性能を犠牲にすることなく落とせるところは落とす」という設計だったのです。ある意味正常なコストダウンですね。
スイッチ群。BS65などは下の空間部にクロマディレイなどのつまみが並ぶが、このデッキではオンスクリーン制御になっており、つまみはなくなっている。
また、録音レベルは自動調整だが、スイッチで切り替えも出来るようになっている。
かろうじてVシリーズの末裔ということは、リモコンモードが3まであることで判る。
毎々、故障の原因になっているハイブリッドICも存在するが、コンデンサが噴いている様子はない。
このデッキは、修理の際にカセコンを壊してしまったとのことでした。
私の手持ちにHV−BS65@コンデンサ吹きまくりジャンクがあったので、そこからカセコンを頂くことに。
メカは綺麗です。消耗品は交換済みとのことでした。
カセコンを取り付け試運転をする。見たところ正常動作だが、よくよく見てみるとカウンターが動かず、ピンチローラー周辺でテープの位置が下に下がってしまっているようです。テープに傷もついていました。
テープを再生させるとそうなるので、デッキメカ側の問題でしょう。
ちょっと調べたところで原因もはっきりせず、面倒くさいので先ほどの部品取りBS65からメカ毎移植することに。
メカ摘出中のV700。このメカももう飽きてきた感じもあるな(爆)。
填めにくいと評判のカセコンですが、面倒くさくてもシャーシよりデッキメカを取り外し、メカを浮かせた状態でカセコンを組み立てると割とスムーズに作業できます。
カセコンがちゃんと填ったか確認するには、カセコンを組立後、デッキシャーシを正規の位置にセットすれば、カセコンからデッキシャーシに止めるネジ穴がほぼ密着します。これが密着しなければ、カセコンが浮いています。
カセコンの駆動用シャフトがデッキから動力を貰う部分でちゃんと填ってないのが原因です。
デッキの上から細いドライバでシャフトをつつく等すれば、きちんと収まります。
組立の済んだV700。
FLですが、BS65などとは違う品物が使われています。
これもコストダウンの為のようで、音声レベルメーターが割愛されています。
V700の良さの一つにはこのトランス式電源がありますね。
それにしても、電解コンデンサが気になるところです。
お約束のFLパネル裏の清掃、ということでフィルタを取り外しプラスチッククリーナーで掃除する。
多少汚れがありました。
デッキリア部。当時のコストダウン時代から考えると中身は詰まっている方です。
電源コードも着脱式を止めていますが、コストダウンになるのかな?
再生映像ですが、なかなかのものです。
仕様は、19ミクロンヘッド、ツインFE、4Mbit動き対応型三次元YC分離回路、三次元Y-NRを搭載している為、BS65などとは別物ですね。BS65に上記機能を追加したと言えば良いかなと。
再生映像のバックに黒い色の横引きノイズが多少見えましたが、こんなもんでしょうか。
貴重なデッキを提供くださったウォリニャンさんにお礼を申し上げます。有り難うございました。
そうそう、後には消耗品の交換、電解コンデンサの交換が控えています。
番外ですが、この写真は部品取りBS65と先日別入手したBS65の2段重ねの写真。
コレを見ていると変なことに気づきます。さて、何でせう?
そう、このシルク文字が右に下がっているのです。
上の写真だと作者のカメラ撮影の腕がダメなのもあり違和感がありませんが、上下のカセット挿入部とシルク印刷文字が平行ではなく、非常にブサイクです。珍しい不良事例ですね、これは。
そうそう、このゲットしたBS65は現在のところ音がうるさいながらも手直しなしで動いています。
これもいずれは紹介の予定です。
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