三菱 HV−S74型の修理の巻
 
 本デッキは、H/Oで¥2000で入手。外観の程度が極上であった。
 新品と言っても良いくらいである。
 
外観図
 
 デッキそのものは、見た目からもS−VHSのローエンド機と思います。
 ただローエンド機といえども、手抜きがないのが当時のS−VHSデッキなのです。
 この高級感が漂うパネル、これだけでもいい感じです。
 
 パネル中
 
 いくら廉価機種といえども、必要な機能が一通りそろっているのがうれしいです。
 また操作はすべて本体で可能、予約、チャンネル合わせ、時計あわせも可能。
 
デッキメカ部
 
 メカです。アルミダイキャストのシャーシ、三菱自慢のツインサーボメカ。これは高速で使いやすい
です。
 よく、このピンチローラー降下のメカを嫌う人が居ますが、精度のいいメカはあまりトラブルが起き
ません。でも、ピンチローラーが劣化、摩耗するとテープに傷を付けたりします。まあ、これは通常の
メカでも同様です。
 この降下メカは、ほかにソニー、パナソニックが採用しています。メカの出来はパナソニックがいい
ですね。
 当然ながら、インピーダンスローラーもしっかり装備。
 
部品一覧
 
 今回は消耗品を交換と言うことで、現在故障はないのですが、予防保全的に交換してみます。
 部品は以前、HV−S84を交換した際と同様の部品です。ただし使わない部品も入ってます。
 
 このキットは三菱電機システムサービスに在庫があり、確か¥1400だったと思います。
 親切なのは、チョンボしてワッシャやバネを飛ばしても、スペアが入っていること。
 
 今回の適応機種は、HV−S84の項をご覧ください。
 ちなみに、修理できる症状はこんなところ。
 
・テープ出ず、入らず        (ピンチローラーアーム組立)
・早送り、巻き戻し時ブレーキ不良(サプライメインブレーキ/テイクアップメインブレーキ)
・再生時映像が上下にぶれる   (テンションブレーキベルト)
・再生後すぐに止まる        (テンションレギュレートアームT)
・コマ送り返転時、立ち上がりのみ
 映像ノイズ              (レバーブレーキRS) ・・・HV−S74には未装備
・早送り、巻き戻し、再生できず   (キャプスタンモータープーリー) ・・・本S74では対策済み
・静止画、コマ送りノイズ大
・記録モード立ち上がり時のみ異音
 大(キー音)              (キャプスタンブレーキ)
 
 
メカ裏側
 
 メカの裏。至って普通の、ツインサーボメカですね。意外とモードSWは誤動作しない、いい出来
です。
 
モードスイッチ
 
 消耗品キットの説明書によりますと、交換前にモードスイッチの位置を確認して欲しいとのこと。
 上の黒い色のケースと、下の回転部分の白い色の部分のくぼみがだいたい合致していること。
 
ピンチローラー周辺
 
 上のスイッチが問題なければ、今度はピンチローラー部のギヤの噛み合いを確認します。
 グリスのせいで見えにくいです。実際には説明書を参考にしてください(手抜き)。
 
 注意:上の2点の状態が、メーカー推奨状態からずれていると、誤動作の原因と
     なり、最悪はメカを破損することがあります。
 
 
ワッシャ外し
 
 ピンチローラーアーム組立を交換するため、ワッシャを外します。このワッシャははめこんである
だけなのでマイナスドライバでこじるなり、ラジオペンチでつかむなりして取り外します。
 
取り外したメカ
 
 ワッシャを外し、上のメカのカバーを外しますと、あとはすんなり引き抜けます。
 
抜き取った図
 
 
 抜き取った後、シャフトをアルコールで清掃し、付属のカラシみたいな色のグリスを塗布します。
 量は少量でいいです。塗りすぎは禁物。
 
組立完
 
 組立の済んだピンチローラーアーム組立。
 
ブレーキ部
 
 次に、サプライメインブレーキ、テイクアップメインブレーキ、テンションブレーキベルトを交換します。
 見た目はいたんでなさそうです。
 
外したブレーキの比較
 
 上が交換前、下が交換後。写真では見えにくいですが、右側の古い部品ではリールの形にくぼみ
ができています。
 
テンションバンド
 
 テンションブレーキベルトの比較。、右が古い品物です。対して劣化していないようで、まだ使え
ます(交換しました)。
 
テンションレギュレートアームT
 
 テンションレギュレートアームTの比較。ブレーキのパッドがない。
 
 上記3点の交換が終わったメカ
 
 写真には写っていませんが、この後、レバーブレーキRSの交換、キャプスタンブレーキの交換、リ
ールベルトの交換、を終えました。
 その後は走行系の一通りの清掃をします。特にキャプスタンシャフトは磁性粉がこびりついている
のでよく清掃します。
 
 なお、カセットハウジングですが、かなり組み立てにくいですね。
 こうすれば、ちょっとはマシです。
 
カセットハウジングを組み付ける図
 
 ハウジングに伝達される最終段のギヤを外し、まずはハウジングをはめこみます。
 手前の2カ所のピン(シャーシから出ている)にまずハウジングを引っかけ、奥にある2本のビス
をしめこみます。
 まずなんでもいいので、手前のツメに引っかけるよう、ハウジングを固定します。ビス固定側は
当然浮き上がりますが、その状態で上の写真のようにフロントローティングギヤをドライバーで前後
に押してみます。そのうち「ガチャ」とはまります。
 フロントローティングギヤのシャフトが、シャーシの穴にはまらないといけませんが、これがなかなか
はまりません(笑)。
 
 メーカーさんの説明書によりますと、ハウジング上からドライバでギヤを押せ、とか書いてありま
すがギヤを外す方がよほど簡単だと思います。
 
ほのかに光るFL部
 
 組立後、試運転中のデッキです。このほのかなだいだい色が、まるで旧型客車の白熱灯を
思い出させます(すごい飛躍だな)。
 とはいえ、このFLだけでも高級感がありますね。
 
 このデッキ、程度がいいのでサブマシン化するかなあ・・・リモコンジョグシャトルができるかどうか
確認せねば・・・。
 
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