三菱 HV−S64型



 見ての通りの三菱Sデッキの末っ子のようです。
 シリーズ的には、

 HV−S64>S74>S84

 と続いたようです。多分HV−S54とはちょっと流れ的に違和感を感じます。
 低価格機と考えれば良いかと。

 某オークションで入手しました。価格が100円とか、可哀想な金額だったのでつい入札(爆)。
 直っても使い道ないのに、と思いつつ・・・。

 そして翌日、まだ終了までに時間があったのですが、なぜだか終了のメールが来ておりました。
 それから出品者さんからもメールが来ており、「面倒なので早期終了しました。代金は結構ですので、送料のみご負担ください」とのことでした。
 また、「いつも修理記事を参考にさせていただいています」とのことで、私のHPをご存じの方のようでした。
 そして、ご厚意を有り難く受け取らせていただくことに致しました。出品者様には、その節は有り難うございました。

 もちろん、故障しておりました。
 試してみると、早送り、巻き戻しが出来ず。良くある典型的な故障です。

 消耗部品キットを入手するのも面倒くさい(汗)ので、そのまましばらく放置していたのですが、先日部屋の中を捜し物してたら、コイツに使える消耗部品キットの新品が出てきました。おそらく入手して忘れていたんでしょうな。
 出てきたということで、早速修理してみました。



 低価格機ながら内容は立派。



 メカは旧のメカを使用していますが、セミ・フルロードとなっています。
 ちょっとせわしない感じがします。この次のHV−S74からはツインサーボとなります。



 リールドライブの交換手順は過去に何度も紹介しているので省略します。
 組立がうまくいかないときは、外して調べてみます。リールドライブそのものがあまりしっかりした出来ではないので、たまに半ば分解していることもありますので注意。



 ピンチローラー。見ての通り、古い方は表面がツルツル。
 一見なんてことのないピンチローラーですが、実はシャフト挿入部には小型ベアリングが使用されており丁寧な作りとなっています。
 今の時代ではとても考えられないことです。



 走行系。あまりに汚い・・・アルコールで落ちる状態ではないので、つまようじなどでこそぎ落とします。



 綺麗になった走行系。走行系の汚れはトラブルのもとになります。また、新たな汚れを呼ぶ原因ともなります。



 安物でもNEサーチ付き。リング表面を軽く磨き、CRC5−56を軽く塗布します。酸化対策です。
 吹き付けるのではなく、綿棒で塗ります。



 メカの裏。ギヤ部にはグリスを少量塗布、ローディングポスト通過部にも少量塗布します。



 FL部。まあ、こんなものでしょう。年式の割に光量低下は少ないです。



 カセコンの動作不良がありましたが、一応難なく修理完了。
 カセコンの動作が怪しいときは、消耗品取説にある通りの操作をした後、カセコンを完全にメカに締結します。
 仮動作では、うまくいかないことがあります。
 今回はこれでハマりまして、ビスを締めると嘘のように直りました。 

 標準、3倍とも映像が出ず、焦りましたがポリシングテープをかけると綺麗な映像が出ました。
 S−VHS再生は上の写真の通り・・・思い切りアレが死亡している様子です。
 アレの交換のため基板を外してみます。



 分解中のデッキ。とてもローエンドS−VHS機とは思えないくらい内容が詰まっている。



 基板も多いですな。



 発見しました。



 今回はおなじみのJVC製ICで4.7マイクロファラドでした。



 同容量のものを取り付けます。



 早速組み立てて再生。をを、綺麗ですな。

 今回のテストテープは、BR−S811でS端子(YC358)録画したMISIAのライブDVDです。
 流石にBR−S811だと、ビデオソフトの画質ですね。面白いです。



 パネル内部。見ての通りローエンドと言えども手抜きはない。強いて言うならフロントにS映像入力端子がないくらい。



 FL部。平均的ながら十分です。ローエンド機なのに」NEサーチが付いているのが凄い。

 このデッキは会社の同僚に進呈する予定です。置いてあっても仕方ないので・・・。
 説明書、リモコンもついてたりしますので初心者向けかなと。(笑)

 約2時間再生してみましたが特に動作も問題なく、綺麗な映像です。
 NEも綺麗に再生出来ていました。見た目以上に程度は良いです。電源基板がちょっと気になるかな・・・。

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