Crown PS-200 パワーアンプの修理(何故か3台分)

修理依頼品として、CrownのPS-200がやってきました。
海外から個人輸入したそうですが、到着時から故障品とのこと。

状況は、電源を入れてもIOCランプが点灯したまま消えないというもの。

3月末に預かったものです。修理は5月初旬まで掛かりました・・・。

後ろに見えるのもPS-200で、これも同一オーナーによる修理依頼品です。
そして私も何故か入手することになり、合計3台をメンテしました。
IOCの動作を司る基板はここ、プロテクト回路基板です。
調査の結果、手前に見えるリレーが物理的に破損している事が判明。

購入時の話では「動作品」とのことでしたが、リレー接点が折れている状況ではどうあっても動作できません。

電解コンデンサは見ての通り、膨らんでいる状況で、かなり手を入れないとといけない状況です。
ICは抜いてありますが、これは調査中の為です。
電解コンデンサ交換後の基板の様子です。

依頼者より、2台目の動作品PS-200を修理調査用に貸して頂いたので、それからリレーを拝借して動作チェックしてみます。

が、動作しませんでした。(汗)

動作品からICも入れ換えたりして、結局写真では抜かれている4073B(U5)が不良でした。
 仮に組み立て、動作チェック中の状態。

併せて、動作品のレストアも実施します。
原因が分かったところで、レストアに掛かります。
インジケーター基板の点検を行います。
電源のブリッジダイオードはパネルにネジ止めです。
基板の半田は痩せてきています。再度半田付けを行います。
手直し後の様子。電解コンデンサは搭載無しです。
 不良のリレーを交換検討中の一こま。
 綺麗に変換基板を作って最低限の改造にしようとしましたが・・・諸理由により断念。
 というのは、この回路は単純にパワーアンプのトランス二次側から交流を貰ってきて専用の整流回路で整流してリレーを駆動しているだけなのですが、回路の電圧は非安定です。市販の消費電力の少ないリレーを使ったところ、電圧が高すぎました。なので、面倒ですが7824を使って安定化電源を組んでしまいました。
回路はWebで見つければいくらでも作例がありますので割愛します。
入力側の100uFは不要かも知れません。
配線が不細工ですね・・・・。
基板上のドロッパ抵抗をジャンパしてちょうど良い入力電圧となりました。(実測38V程度)
改造1stモデルは7824をシャーシに放熱の為固定しましたが、殆ど発熱が無い事から、2ndモデルからは固定していない状況です。
主基板の様子。
電解コンデンサを交換しました。
基板ロットにより定数変更があるようですので要注意です。

コンデンサリスト:
メイン基板
4.7uF/63V 6個
100uF/16V 1個
出力段基板
4.7uF/63V 4個
プロテクト基板
10uF/100V 1個
2.2uF/50V 4個

お好みに応じて
リレー1個(DC24V、2C接点)
入力フォーンジャック(絶縁タイプ、スイッチ無しで可)2個

リレーはオーナーの希望により2台は交換しましたが、私の1台は交換していません。
これは出力段のコンデンサの様子。これも交換しました。
メイン基板裏の様子。再半田を実施しました。
入力ジャックの接触不良と、差し込んだときの保持力が弱く感じたので、ジャックを交換しました。
 市販品はサイズが合わないので、リーマーで広げます。
穴を拡大した様子。
この後、ジャックの廻り止めのピン穴を少し加工しました。
新しいジャックを装着したところ。
そのうちに、私の3台目がこのような箱に入って届きました。(汗)

3台目の動作チェック中。
内部がキタナイです。
まずは清掃をします。
3台目のメンテナンス中の様子。
ネジを多数外さないとこうなりません。
3台目のメイン基板。修理着手前です。
同じく3台目。
内部の状況はあまり良くありません。
電解コンデンサをすべて交換、基板は再度半田付けを実施します。
本基板上の4.7uF/63Vは完全に容量抜けしていました。

後からの1台のみ、4.7uF/63Vのコンデンサ4個が10uF/50Vとなっていました。
後日の改造ではなさそうですので、設計改良があったか何かだと思います。
半田付けを終わったところ。コテを当てるだけでも良いですが、フラックス補充を考えると半田を少し盛る方が良いでしょう。
プロテクト回路基板の様子。レビジョンが違うので部品配置も違います。
半田の様子。
典型的な半田クラック寸前の様子です。
電解コンデンサを全数交換しました。
インジケーター基板の様子。
この基板にはレジストがありません。半田クラックは見受けられましたので同様に再半田を行います。
最後に動作確認した後、DC調整を行います。調整前ですが、年式と程度を考えるとこんなものでしょう。
メーカーの調整値は超えています。
調整中の様子。

調整の方法は、この状態で入力オフセットとDCオフセットをそれぞれ調整し、入力レベルボリュームを最小、最大にしても電圧が殆ど変わらないように調整します。
多少のずれは生じますが、差異は2mV以内に収めた方が良いでしょう。
このアンプの電源スイッチ。なんか凄い事になっていますな。
取りあえずしばらくこの体制で切り替えて使う予定です。

3台をメンテして思ったのは、ICが良く壊れるアンプだなと思いました(汗)。
その後・・・自分用メイン機材のパワーアンプは、現状このようになってしまいました(汗)
これもメンテしました。記事は後ほど。

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