DENON PMA−500Z プリメインアンプの修理

 DENONの、おそらく当時は高級だったプリメインアンプ。
 修理を依頼されました。
 状態は、スピーカー出力リレーが降りないというもの。
 内部を見ていきます。部品などは普通グレードの部品ですが、十分でしょう。
 さて、古いアンプでリレーが外れないといえばDC漏れが気になりますが、このアンプはプロテクト回路がありません。
 基板を取り出して解りました。

 というのは、ヒューズが3本もあります。
 左右2本はファイナル段Trの電源保護用。では真ん中は?

 と言えば、それがスピーカー保護用になります。
 70年代前半はこういうやりかたが普通だったようです。
 ちなみに、AU-9500もヒューズ保護でした。
 AU-9900はプロテクト回路が組んでありました。

 
 組み立てて、DC漏れの程度を計ってみると、こんな数値です。
 優秀ですねェ。
 むろん、調整後の数値ですが、元々そんなには狂ってなかったようです。

 しかし、リレーは降りません。何故?
 リレーの載った基板を眺めてみます。

 どうやら、コンデンサの放電による時定数を利用した遅延回路のようです。
 別に電圧だの電流だのはチェックしていない様子です。
 この基板の目的は、電源投入時のショックをなくすためのものでしょう。

 下にせわしなく入っているコネクタは、左4本がスピーカー回路、右の3つが電源他。
 白が電源(DC45V)、灰色が電源ON検出(この先、電源スイッチの補助スイッチを経由しアースへ)、黒が電源マイナスです。

 回路を見ると、どうやら基板上のTrの動作はスイッチングですが、コンデンサの放電が終わった頃にリレーをONさせるというもののようです。

 リレーを叩くとリレーが降りるのですが、定格24Vのコイル電圧に対し、修理前に電圧を測ると実測10V前後でした。これではリレーの可動接点を引き寄せる力が出ないのでしょう。
 基板には電源の45Vが掛かっており、電源はTrを通じてリレーに供給されます。
 となると、電圧降下を起こす部品はTrだけになります。
 交換すべし、ですなぁ。

 回路電圧から、余裕を考えて手持ちの2SC2808と交換しました。
 電源基板を調べるとこんなのを発見。
 ((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル

 よく見ると、脚の入っているところから先に亀裂があります。
 今回交換した部品類。
 左のTrは比較の為に置いた2SC2808新品。
 Tr交換後、リレーのコイル印加電圧を調べてみると約23Vと、問題なくなりました。
 当然リレーもかちんと適度なタイミングでONになります。キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
 あと、パネルのパイロットランプが切れていたのでこれも交換します。
 特に難しくはありませんが、電球が少し小さかったです。
 脚をハンダ付けし、熱収縮チューブで保護します。
 DC漏れを測定の際、アナログテスターの針の動きが多少不安定になります。プリメインを切り離すと問題ないので、フラットアンプのTrが劣化しているのでしょう。
 それを裏付けるように、Trの脚は真っ黒です。

 依頼主からは、コストを押さえるよう依頼があったので、今回は交換しません。
 スピーカー切り替えスイッチのつまみがぐらぐらでしたので、調べるとつまみの裏にビスがありました。これを増締めするとOKとなりましたが、凝ってますねェ・・・。

 かくして、本アンプは無事に納品されました(笑)。

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