VTRの修理3ページ目です。
 
おそらく、目の前はこんなことになっていると思います。
 
(写真17)
分解後
 
ほとんどジャンクですが、ちゃんと戻りますから心配しないでください。(笑)
 
メカを上から見るとこんな感じでしょう。
 
(写真18)
上から見た図
 
 真ん中にある、黒いプラスチックが今回取り替えする部品です。
 簡単に外れません。十分注意して進めましょう。
 
 早速メカをはずします。
 
 メカの左右にあるレバーをはずします。上の写真では、黒いプラスチックの上に
乗っている白色のレバーです。
 
(写真19)拡大図
レバー拡大図
 
 引っかけてあるだけなので、レバーを軽く浮かせればOKです。
 力を掛けすぎると破損しますから注意しましょう。
 面倒ならはずしてしまってもいいです。上の写真の右にちょっと出ている部分がストッパーです。
 これをちょっとだけ左に押しつけて、上に引き上げれば抜けます。
 
 反対側の写真を撮り忘れたので文章だけになりますが、右側は簡単に外れないので、レバーを
ちょっとだけ引き上げて右側にやればいいです。
 
 上の写真で、テープリール部の下に付いているのが「テンションブレーキベルト」です。
 これも取り替えます。
 サインペンでシャーシに、今現在止めてあるベルトの位置を控えておきます。
 忘れるとちょっと面倒になります。
 その後、ベルトの端についているビスをゆるめます。
 反対側は差し込んであるだけですのでラジオペンチなどで引き抜きます。
 
 取り付けは逆手順で組み立てるだけです。
 ねじの固定位置はとりあえず元あった位置にしておきます。
 もしかすると調整が必要かも知れません。
 
 今回「テンションブレーキベルト」を取り替えたのは、いずれ悪くなるからです。
 たいていのメーカーのVTRでは、消耗品取り替え時にこの「テンションブレーキベルト」が悪くなる
(フェルトのバンドとベースのの銅板の接着剤が劣化しはがれている)ことがほとんどです。
 今回のこのVTRでは見た目はナントもなかったのですが、いずれはがれると考えて取り替えるこ
とにしました。
 
 さて、リールドライブユニット(上で言うところの「黒いプラスチック」)を固定している5本のビスを
はずします。
 
 ビスが外れたら、上の写真で白いレバーが載っている部分の黒色レバーを右に押しつけながら、
ユニットを上に引き抜きます。
 
(写真20) はずした状態
はずした状態
 
ここまでくれば、半分は終わったようなものです。
はずした部品の比較が下の写真です。
 
(写真21)
部品の状態比較
 
 手前が古い部品、奥が新しい部品です。
 目に見えて改良されている部分はなさそうです。
 ただ見る限り、ゴム部品の劣化が見られます。
 ブレーキ部などにその傾向が見えます。
 
(写真22)
ゴムが割れています
 
 上が新しいもの、下が古いものです。
 真ん中に見えるゴムがひび割れています。
 
 また、新しい部品には識別のためか「A」とか中心部に書いてあります。
 
 後は逆手順で、メカを組み立てます。
 注意する点は、初めてユニットを入れたときに、さっきも言った黒色レバーを少し右に押しつけて
組み立てます。
 詳細は説明書に書いてありますのでそれを参考にしてください。
 
 つぎにローティングベルトを取り替えます。
 先ほどローティングユニットの分解で、取りはずさなかったベルトを取り替えます。
 
(写真23)
ベルトの取り替え
 
 ちょっとはずしにくいです。
 
 説明書では書いていませんが、メカにグリスを塗ります。
 注意ですが、塗りすぎないことです。ドライバーなどに微量をとって、今グリスが付いている場所に
微量を塗ります。多すぎるといいことは全然ありません。
 
(写真24,25)塗っておいた方がいい場所
ローティングポスト部
 
 ヘッド横の溝に、微量を塗ります。
 
ローティングユニットのギヤ部
 
ギヤ部にも微量を塗ります。
ついで、ヘッド部分をちょっと清掃します。
 
(写真26)
ヘッド部分
 
 ヘッドの上からレバーが出ていますが、これはヘッドのアースです。
 中心部が、カーボンブラシのため汚損します。
 取り外して清掃します。
 
(写真27)清掃前の状態
汚れています
 
 綿棒にアルコールをつけて掃除します。
 汚損により接触不良が発生すると、画面にノイズが出る原因となります。
 清掃後、元通り、部品を取り付けます。
 
 それでは、各ユニットを説明書に従って、元通り取り付けます。
 デッキ底面のベルトは組立の際に取り替えます。
 
 組立の時にはベルト及びプーリーにグリスや油をつけないようにします。
 もし、ついてしまったらヘッドクリーナーの付属液で丁寧にふき取ります。
 
(写真27)底面部の様子
底面の様子
 
 両方ともビスが小さいので注意します。
 
 次にフロントローティングユニットを取り付けます。
 これも分解時の逆手順です。
 コネクタを取り付けてから組み立てます。
 
(写真28)ローティングユニットを組んだ状態
 
ローティングユニットを組んだ状態
 
 取り付けが終われば、今度はフロントパネルを取り付けます。
 取り付けの際に注意するのは、録音ボリュームの位置です。
 右端の位置に、パネル側、本体側とも固定して取り付けます。
 コツはありません。あせらずゆっくりと取り付けます。
 
 つぎに、最初にちょっと言った改良部品を取り付けます。
 これはメーカーの名誉(?)のために簡単な紹介にとどめます。
 説明書には詳細に書いてありますし。
右側の基板群をはずす
 
 基板をはずします。説明書に書いてある、ビスを取り去ります。
 そして手前のフラットケーブル2本を抜きます。
 何回かガサガサすれば、基板が上に上がると思います。
 無理は禁物です。
 
基板があがった状態
 
 上の写真では、すでに「コントロール基板」を取り外してあります。
 チューナーが基板に固定されているので注意が必要です。
 
 半田ポイントはここ
 基板上の「Q5A1」のトランジスタを取り外します。
 そして表側より添付されていた基板のコネクタを取り付けます。
 半田付けが済んだら逆手順で組み立てます。
取り付け完了の図
 
 表側では、黄色い色の線を「IC5A1」の58ピンにつなぎます。 
 基板を「IC5A1」の上に両面テープで固定し元通り組み立てれば作業は終わりです。
 
 さて、組立が出来たら試運転です。
 電源を入れる前に、ビスとかの不足がないか、コネクタをちゃんと刺しているか、一通り確認します。
 
 
組立終わり、動作確認中
 
テープを装填している状態
 
 当然ですがこのときに使用するテープは「お気に入り」というようなテープは絶対に使わない方が
いいでしょう。
 メカを組み立て損ねている場合は、場合によってはテープをちぎる羽目になることがあります。
 上の写真のテープはテスト用テープです。
 色がハデなので簡単に識別できます。
 
 早送り、巻き戻し、再生(SP/EP)、特殊再生、録画(SP/EP)、がすべて問題なければ、
蓋をします。
 
 とはいえ、問題が起きることが多いです。一応説明書にもありますが書いておきます。
 
 1)テープを入れてもすぐに出てくる。
  説明書にありますが、ローティングユニットのメカ位置不良です。
  説明書にある通り、手直しをします。
  電源コードを抜いて、テスト用テープを入れて手動でメカを動かし、「F/Lクラッチ」を反時計方向
に回し続けます。
 クラッチが外れてメカが完全にローティングされたと判ったら、その状態で電源を入れ、「EJECT」
ボタンを押せばテープが出てきて、正常動作になると思います。
 (今回体験済みです)
 
 2)早送り、巻き戻しが出来ない。
 
 リールドライブユニットの組立に問題がある場合に発生するようです。
 最初にはずした逆の手段で組み立てれば問題ないでしょう。
 (今回体験せず)
 
 3)巻き戻しのみできない。
 
 これは説明書になかったのですが、今回取り替えたリールベルトにグリスが付着していたようで、
スリップしていました。
 アルコールで清掃し、復活しました。
 
無事に終了!
 
画質は10年落ちのVTRにしてはまずまずの画質でした。
再生映像・・・無意味かも
 
 ううっ、無意味かも(笑)。
 
 再生をしてみて、トラッキングを調整しても画面にノイズが出たり、画面が振動するようでしたら
途中で取り替えた「テンションブレーキバンド」の調整が必要です。
 ビス止めしている側のビスを緩め、ちょっとバンドを緩めて調整します。
 何度か緩めたり、締めたりすればそのうち綺麗に再生できるところが見つかると思います。
 なお、標準モードで再生してから、3倍モードも綺麗に再生できるか確認しましょう。
 この調整が悪い場合、3倍モードの方が不具合が顕著に現れるはずです。
 
 だいぶ駆け足でしたが、1台のVTR消耗品の取り替えのご紹介をしました。
 
 ご注意:文中に出てくる用語の間違いなどあれば、連絡ください。
      またVTR修理のご質問など、判る範囲でお答えしますのでメールでもください。
 
 1日でこのコンテンツを作り上げたのでちょっと最後はイイカゲンでしたが、適宜修正していきます。
 また、他社のVTRも入手できたら修理レポートをしますのでご期待ください。
 
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