マランツ ラジオカセットレコーダー CRS−3.8型

 かなりの珍品、マランツ製のラジオカセットレコーダー。

 実は某所で音を聴いたことがあり、かなりいい音でした。
 そんなわけで、見た目のチャチさは無視して即購入。1000円でした。

 オフの際に購入したのですが、オフに参加されて居られた方々の皆さん全てが「らいちゃんさん、何でそんなゴミぶら下げて」的な反応でした。
 まぁ確かにこの外観ではねぇ(笑)。

 しかし私が保護するからにはそれなりの面白いブツです。
 不具合箇所は1カ所、テープ部の-PLAYボタンが陥没しています。
 その他の操作はできます。修理を試みてみることに。
 本体を振るとチャラチャラと音がします。部品が転がっているのでしょう。

 外れた部品を見ると、特に壊れたようにもないので、外れただけのようです。
 問題なく直せますね。
 同じ構造のものが並んでいるので、倣って挿入します。
 本当は接着剤を塗布しておけば長持ちすると思いましたが、しませんでした。
 内部の状態。2枚基板でまとめてあり、これは1枚目。もう1枚はデッキの裏に貼り付けてあります。
 本体部分の大きさは実に小さく、このサイズです。
 たとえるならCDジャケットを横にして10枚くらい積んだくらいの大きさです。
 アンプ部。ラジカセらしくコンパクトにまとめてあります。
 メカ周辺。オートリバースです。ピンチローラーの綺麗さがいいです。余り使われなかったのでしょう。まぁ理由は解りますが(後述)。
 外部入力でCDを鳴らしてみます。

 思った通り、この時代のラジカセより一歩抜き出ている音質です。ミニコンポ並の音は出ています。
 このサイズでこの音質はある意味異様です。

 ラジオバンドがワイドバンド、メタル対応、オートリバースなことから1985年前後の製品と推測されます。
 カセットデッキ部。
 蓋の中にメタル対応スイッチやカウンターなどがあります。

 内蔵のカセットデッキ部の再生音質はまずまずですが、まぁラジカセですので・・・。
 一体型アンプ部。5バンドグライコも時代の流れでしたね・・・。

 はっきりいってデザインは終わっています。
 色遣いもセンス無しです。どこかNIES製品のニホヒがします。
 それは、各スイッチの操作感にも言えます。
 特に堅くて動かしにくいボリュームの調整のしにくさは、設計者を問いつめたくなります。
 日常もっとも触れるボリュームがこれだけ使いにくいと苦痛ですらあります。

 マランツロゴがなければ本当にNIES製品にしか見えません。

 しかしオーディオメーカーとしての匂いは、例えば電源スイッチやファンクションスイッチの作りにあります。
 普通のラジカセならスライド型の電源スイッチ兼ファンクションスイッチですませてしまうところです。

 当然ですが3ピースに分解可能です。
 この当時の流行でもありました。
 センスのなさはこういうところにも現れています。
 一瞬電池蓋を無くして別なのを取り付けたのかと思うような色遣いですが、どうやらオリジナルのようです。
 このラジカセの色違いが存在するとも思えませんしね。
 ボロクソ言ってますが、このラジカセのスピーカーだけは褒められる作りです。
 自らHIGH QUALITYと書いてあるあたり、センスが無いですが、本当に高品質ですので良しとします。
 重量もそこそこあります。
 よく見ると、エッジは布エッジです。オイオイ、ラジカセだぞ・・・。

 このラジカセの高音質は、アンプ部よりスピーカー部が大きいようです。
 しかし内蔵アンプの音質もかなり頑張っている方です。
 ラジカセでありがちなバスレフではなく、密閉型キャビネットです。
 これで、ラジカセ音質ではなく上級のミニコンポ的音質が出ています。
 たいした作りです。
 このラジカセのスピーカーは本当に高音質なのかどうか、別アンプで試してみました。

 おなじみTU−870ですが、まずはぐっと低域が伸びます。
 バランス的にも丁度いいのではないかと思いました。

 何よりこのスピーカー、ボーカルの質感の良さと、定位感の素晴らしさが際だっています。
 低域も心地よく、そこそこの重低音も出ますし、サブとしてもいいかなと思わせる音です。
 次にAU−α607との組み合わせ。
 パワーは確かにあり、低域もそこそこ出るのですが、高域が耳について何故か一気にラジカセ臭さが出てきます。アンプの高域が良く伸びているからでしょうか。
 そういうことで、TU−870との組み合わせがベターでした。
 こういう感じで使用するのが良いようです。
 これが1000円とはいい買い物でした。

 まずは見かけないと思いますが、見つけたら保護してみてください。
 面白いです。

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