Crown(Amcron) 業務用パワーアンプ D-150A SeriesII の修理

既にいろいろなところで名機として名高いアムクロン(クラウン)のパワーアンプ。既に私が現用で1台所有しているのですが、新居移転にあたりサブシステムを組むときにもう1台欲しいなぁと入手。

故障品でしたのでやや割安でした。
今回の入手品は下です。

CrownとAmcronの差は日本での商標権の問題だけで、内容は同じです。Amcronに関しては基本的に正規代理店の販売となります。

状況は、電源を入れても音が出ず、IOCランプが不定期に点滅するというもの。
 今回の入手品。
 まずはDC漏れをチェック。各chとも360mV、418mVくらい。ちょっと多いです。

 まがりなりにもDCが漏れていて、500mV以内ということはアンプとしての動作は問題ない可能性が高いです。

 これだけ漏れていると、スピーカーをつないだときにカリッと音がしたり、電源を入れたときにコーン紙が動くのがはっきり解りますので要注意。
 メイン基板の様子。

 オペアンプのLF357Nなどは既にディスコンで入手難です。
 チューブラ型電解コンデンサ以外の電解コンデンサを総交換します。
 チューブラ型は取り外して容量チェックしたところ問題ありませんでしたので、後日交換することにします。

 写真では既にMUSEに交換済みです。
片ch+電源回路部の回路図。
10uF/50Vが1台で5個使用されており、うち4個は音声が直接通ります。
1個は電源回路に使用されています。
あと、10uF/.150Vてのがあります。数も少ないので全数交換が望ましいです。
電源のブロックコンデンサは交換していません。
 取り外した電解コンデンサのチェック。
 5個中、4個はこの程度の容量で問題なし。
 10uFなので10%の誤差は許容値でしょう。
 1本だけ、このように容量抜けを起こしているコンデンサがありました。
 これが原因かと思われます。
 日本のELNA製ですが、意外です。
 音声回路用ではなく、電源回路用のもののようです。多分設計にも少し問題があるのでしょう。
 サービスマニュアルが入手出来たので、調整をしてみます。
 マニュアルによると、DCオフセットの調整とバイアスレベルの調整、全負荷テストなどの項目があります。

 全負荷テストはちょっと無理ですので、DCオフセットとバイアスを調整してみます。
DCオフセットの調整後。
しばらく暖気運転してから再度調整します。
マニュアルによると±10mV以内ですので、写真の数値であれば問題無いです。
多少の変動はありますが、通常大きく変動することは無いです。
 続いてバイアス調整。
 終段のTrのベース、エミッタ間に電圧計を接続し、電圧を見ます。

 マニュアルによると、0.31V〜0.35Vに調整すると良いとのことです。
 この写真の数値では若干少ないですね。
 Channel1のテストリードをつなぐポイント。
 バイアス調整の為廻すのは右下に見えるR228のポテンショメーター。
 上のR200はDCオフセット調整用のポテンショメーター。
調整後の数値。
これも多少の変動があります。
続いてChannel2。
こちらはやや多いですね。
上のように電圧を調整します。
最終的にもう1回DCオフセットを確認します。
この数字であれば十分です。
 通電するとIOCランプも点灯しなくなりました。
 音を出してみると、現用品ほどではないですが、ご機嫌で鳴り始めました!
 修理完了です。

 それから1日以上、現用品と置き換えて使用していますが特に異常もありません。
 コンデンサも通電により良くなってきたようで、低域もモリモリと出始めました。
 Blackgateへの換装は後日行う予定です。

 現用機とのBTLですが、ウチのJBL L166とA730との組み合わせだと大変な事になります。
 明らかに音は良いんですけども・・・。(笑)
 へたれアンプだとそっけない鳴り方のL166が別物のように鳴るのです。
 小型SPならそこまでしなくても良いなぁと感じました。
 ついでに、現用品のチェックもしてみました。
 DCオフセットはメーカーの調整数値をやや超えていますが、良好な部類でしょう。
 現用品も同じポイントからバイアス調整出来ます。
 C209のコンデンサがBlackgateに置き換えてあります。

 現用品も同じように調整済みで、長く使えると思います。

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