山水 プリメインアンプ AU−9900の修理(DC調整、バイアス電流調整編)

 掲示板に、下記の書き込みを頂きました。ありがとうございます。
 この文章を元に、本記事を作成し、アンプも無事に調整が終わりました。
 アドバイス下さったKOIKE様、山水大好き様、ありがとうございました。
 判りやすい内容でして、うまく調整が出来ました。


Re: 無謀? 投稿者:山水大好き  投稿日: 9月27日(金)00時13分44秒

 

初めて投稿します。
初段のVRはDCオフセット用なので、スピーカー端子間が0Vになれば良いです。
スピーカーセレクトスイッチでスピーカーのコーンが前後するのはこのオフセットがズレてます。
アンプが暖まるとずれるので時間が経ってから何度か調整するのが良いです。この頃の
山水アンプは信号入力のトランジスタのベースに直接オフセット電圧を注入しているのが特徴です。

2段目のVRは出力段のアイドリング電流調整用で、終段パワートランジスタのコレクタと電源間
(多分保護用のヒューズがあるので外して電流計を入れる)の電流を測るが正しいのですが、
エミッタ側に0.47Ωや0.33Ωのセメントが有りますからその両端の電圧を測り電流換算しても計れます。
設定値は機種によって違うので、何とも言えませんが、実測でAU-D907Xで90mA、AU-D707Xで55mA、
AU-888はサービスマニュアルから30mAですからパラプッシュのAU-9900なら片側20〜30mA、パラ
プッシュの合計で40〜60mA程度では無いかと思います。
調整する前に、各セメント抵抗の電圧を測定しどのくらい流れているか調べるとハズレが無くて良い
と思いますが、マニュアルが来てからでも遅くは無いですね。まあ、各放熱器が程良い暖かさなら
30mA〜50mA程度で、ちょっと熱め(AU-D907X程度)なら100mA前後ではないでしょうか。

 ・・・スイマセン、マニュアルなんぞアメリカから船便でえっちらおっちらやってくるらしいですし、待ってられません(爆)。

先日無事にトランジスタ交換を終えたAU−9900ですが、パワーアンプの修理には調整がつきもの。これをせずに部品交換だけをしてしまったのですが、一応音は出ています。しかし、イカンということで調整に挑戦することに。

確かに音は出ていますが、プロテクトがはずれると「パツン」なんて音がスピーカーから聞えますし、DC漏れがあるのは間違いなしです。

調整をするには、調整用の半固定VRを交換してからにします。調整用の半固定VRが接触不良では冗談にならないので。

調整前のスピーカー端子での電圧測定。230mVと、DC漏れ漏れですな。

これでも一応プロテクトははずれますが、危険です。

再び取り出したパワーアンプ部の基板。ファイナル部は別にありますのでドライブ段です。
取り外した半固定抵抗。こんなのを回したら接触不良は間違いないですので、交換します。同じ馬蹄型ならピッチも一緒でいいのですが、経年劣化を考えてちょっとだけ上等なものにします。@290円。
半固定VR4個、バイポーラ電解コン2本を交換したところ。この基板で気になる部品は取りあえず無くなりました。

尚、VRは取り外した古い品物のおおよその抵抗値を測定し、新しいものはその抵抗値に合わせておけば安心です。
今回はそうしました。

ちなみにDC調整用は4.7kΩ、ファイナル段バイアス電流調整用は1kΩ、いずれもBカーブです。

まずはDC漏れから調整。テスターでスピーカー端子を当たり、DC調整用のVRを回して出来るだけ電圧が無くなるように調整します。
デジタルテスタで細かな数値を、アナログテスタを併用すると電流がおおよそ連続的にビジュアルに把握できるようになり、調整がラクでした。
両方のchで同じように調整しますが、通電したまましばらく置いておき、また後ほど再調整します。

尚、くれぐれも一気回しなどはしないように。アンプを壊すおそれがあります。

この調整中、ファイナルのトランジスタが異様に熱くなっている事に気づきました。DC調整はそこそこに、バイアス電流の調整を急ぎます。

2段目のVRは出力段のアイドリング電流調整用で、終段パワートランジスタのコレクタと電源間
(多分保護用のヒューズがあるので外して電流計を入れる)の電流を測るが正しいのですが、」

上記を参考に回路図を見ると、DC整流された直後とトランジスタのコレクタ間がコネクタ接続になっている様子で、実物もそうでした。ここにテスターを挿入します。

安物デジタルテスタには電流測定レンジはついていませんでしたので、会社から借りてきたマイテスタで測定してみます。

最初は300mAレンジで「オーバーレンジ」なんぞの表示が。そりゃトランジスタも熱くなるわな。
慌ててボリュームを回して取りあえず50mA程度に調整してみます。

調整中の図。L、R、各chで行う必要があり、また電流値の確認はプッシュプルになっている各TRで行う方が良いです。

ここには電源を切っても10000マイクロファラドの電解コンデンサがあるので電気が溜まっています。要注意。

確認ポイントは、整流用のダイオードの下にある1Pのコネクタで、ここに電流計を挿入します。
ちなみに、エミッタ側に0.47Ωや0.33Ωのセメントが有りますからその両端の電圧を測り電流換算しても計れます。」というエミッタ側の抵抗は、このセメント抵抗のことで、ズバリ0.33Ωでした。
バイアス電流は、アドバイスを参考に各回路で25mAに調整し、PPで合計50mA程度にしました。放熱板を触っても「熱いかな?」程度で負担にはなっていない様です。

VR交換直後は「かなり熱い」感がありましたので、調整がくずれていたのでしょう。古いアンプはDC漏れとバイアス電流に要注意ということを思い知らされます。

スピーカー端子のDCは、0.1〜0.7mV程度に押さえることが出来ました。

スピーカースイッチを切り替えても静かになりました。

これにて今回の目的は達成することが出来ました。

外観はヤニ漬けで、そのうちに分解清掃をしてやろうと考えています。

ファイナル段Trの放熱用シリコングリス塗布も課題です。

初めて自分で完全に修理できたアンプだけに愛着が出てきました。

次はAU−D907Xの修理だな・・・。

音を聞いていると、25年を経過しているとは思えません。まだまだ現役で行けると思いますし、ヘタレなアンプなら十分勝てるなと思いました。

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