日立 ラジオカセット TRK5450型の修理

 スレッショルドの次にコレが来るとは誰も予想しなかったでしょうね(爆)
 モノラルラジカセは30歳台のお歳の方なら、オーディオの原点ではないかなと思います。

 これは会社の事務所で、朝の8:30にラジオ体操を再生させるために、社内の小型PAアンプにつなぎっぱなしになっているラジカセ。
 少なくとも私が転勤する前からあります。

 ある朝、ラジオ体操を再生させる為に、女子社員さんがいつものとおりコレの再生ボタンを押したのですがテープが動かず、その日の体操は結局出来ませんでした。
 総務の担当の人とか課長とかが苦戦していましたが、結局蓋を開けてない状態では何もできません。

 ラジオ体操が出来ないのは大問題です。
 このまま捨てられてしまう前に、私が仕事の手隙にちょびっと直してみました。
 見ての通りあまり綺麗ではありません。

 とりあえず日立マークが珍しいかも知れません。

 後ろにビスが6本止まっているので、すべて外します。
 で、電池ケースの中にもあるのは、ラジカセをバラしたことがある人には最早当たり前かも知れません。
 さすがは国産の一流メーカー製!と思わせる部分は多数ありますが、まずはコネクタの使用によるメンテナンス性の良さでしょうか。
 下手するとメンテも受けずに使い捨てされるラジカセですが、ちゃんとコネクタが使ってあり、キャビネットが完全に分割できます。良くできてるなぁ・・・コレが海外製の怪しいラジカセだと8割方はコネクタ無しの直結です。
 スピーカー。見た目は安物に見えますが、FOSTERの文字も見えます。
 カセットメカを外す前に、ラジオのチューニングメカも取り外しておきます。バリコンのビスは予めゆるめておきます。

 こういうメカがさくっと外せるのも一流メーカー製ならでは、じゃないかなと。
 メカを起こして調べると、予想通りベルト切れ。

 買い置きのベルトと交換することに。

 いったん、ここで会社から家に戻ります。

 会社の他の人「何でそんなベルト持ってるの?!」

 ・・・ですな。確かに変です。

 会社の他の人「なんでこんな事知ってるの?!」

 ・・・ですな。確かに普通の人は余り知らないね・・・。

 ホームページで大々的に公開していることは言わないでおきましょう。
 ベルトは2本。珍しいことですが、後に理由がわかります。
 切れていたのはメインの1本です。
 メカが外されたメイン基板。終段はICであっさりと仕上げてあります。
 それにしても良心的な作りですねぇ。
 小さいながらも立派な録音/再生切り替えスイッチです。基板のシルクパターンも親切。この辺はさすがローエンドのオーディオ機器とはいえ、日立ならではでしょうね。見えないところの設計がしっかりしているのには非常に好感が持てます。
 メカを組み付けます。
 この録音/再生切り替えスイッチはメカから出ているレバーで動きますので、コレの当たりが問題ないよう注意しながら所定の位置に組み立てます。
 ラジオ部。たかだか1万円のラジカセのラジオ部とは思いにくい内容です。ちなみに、TVの1〜12ch受信が出来るので、その関係で回路が増えているのもあるでしょう。
 ヘッド、走行系まわり。汚損が目立ちますが、会社に綿棒やアルコールは無いのでそのまま。
 消去ヘッドはさすがに磁石押し当てタイプ。
 リールの駆動はギヤで、ここもギヤそのものが劣化破損しなければ信頼性の高い良いメカです。
 無事に修理完了。

 ラジオ体操をハイファイで再生中です。
 アンプもちゃんと設計しているらしく、この手のラジカセにありがちな低域カスカスで中高音キンキンではなく、バランスが取れたいい音でした。

 こういう所は外観で判断しにくいので、難しいところです。
 正直日立ではアピール度が低いですし・・・。

 みなさん、こういうモノラルラジカセを買う、と言われたら、どこのものを買いますか?
 私なら無難にパナソニック買いそうです。日立なんてどこで買えるんだろうか。最も、今や日立名のラジカセは無いかも。日立リビングサプライか、日立ホームアンドライフソリューションになるんだっけ。淋しい話です。Lo-Dで頑張っていた時代の日立はどこにもありませんね。

 このメカ、再生時以外にもメカがテープ端部に来れば自動オフします。フルオートオフのメカになっています。驚きました。このクラスのラジカセで、フルオートオフを搭載しているのは皆無でしょう。
 昔はソニーがオートシャットオフを備えていましたが、このクラスだとそれも危うい状態でした。
 日立はこのクラスにもたまたまだとは思いますが装着しています。

 メカのベルトが1本多いのはフルオートオフの動力源なのでしょうね。
 ラジカセの中に10年間くらい入りっぱなしだと思われるテープ。
 かなりちゃんとした出所のテープで思わず笑ってしまいました。
 ドルビーシステムって ○| ̄|_

 かなりハイファイで収録されています。
 さすがにテープは相当ヘロヘロなんですが、まだまだ酷使されることになります。

 ちなみに、今の時代はPA用のラジオ体操すら、カードにメモリ化されて、タイマーで自動起動による放送ができます。PA用のチャイムといいラジオ体操といい、既にアナログメディアの時代は去っているのです。

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